「源氏物語」(紫式部)②

本書「源氏物語」について

「源氏物語」(紫式部)
(阿部秋生校訂)小学館

今年一年かけて読み通した
本書「源氏物語」
本書を知ったのは十年前の
2010年のことです。
図書館で本書に出会って以来、
何とかして手に入れたいと
思っていました。
ところが価格は当時の税込みで9800円。
しかもすでに廃刊。
あきらめていました。

しかし六年前の2014年でした。
amazonで中古が
送料込み665円という破格の値段。
興奮しながら購入手続きをしました。

届いてさらに驚きました。
新品同様なのです。
幸せ一杯です。
若干の使用感はあるものの、
前の所有者が
大切に扱っていたのでしょう、
十分満足できる状態でした。

これを読み込む前に、
まずは現代語訳を読まなければと思い、
2015年には寂聴訳谷崎訳
交互に読み進め、全巻を読破しました。
そしていよいよ今年2020年、
本書を読み進めようと
思い立った次第です。

さて、本書は原文ですので、
すらすら読めるはずはないのですが、
次の二点の特徴があるため、
意味をとらえやすくなっています。

一つは、簡単な注釈が、
巻末ではなく見開きの左側に
あるということです。
これが大切です。
いちいち巻末を参照していると、
読書の流れが中断してしまいます。
見開きの左側にあることによって、
流れを止めることなく確認できます。
ちくま文庫などは
以前からその方式ですし、
新潮文庫の「日本文学100年の名作」も
そうです(これからこの形が一般的に
なればいいなと思っています)。

もう一つは、台詞が誰のものか、
「 」の上に小さく書かれてあり、
理解しやすいということです。
源氏物語は一文が長い上に、
主語が省略されているので、
行為の主体をとらえにくいのです。
でも、この本では少なくとも
誰が話した言葉なのかは
正しく理解できるのです。

それでもやはり
古文の知識に乏しいため、
現代語訳といくつかの資料なしでは
読み進められませんでした。
逆に、調べながらでなければ
読み進められないため、
大きな勉強の機会にもなりました。
当時の状況を理解できないままでは
文学作品を理解することなど
できないのです。

「生涯学習」などと立派なことを
言うつもりはありません。
楽しいから読むのであり、
楽しいから調べるのであり、
楽しいから学ぶのです。
そしてそれによって、作者・紫式部と、
千年の時空を超えて
対話したような気持ちになりました。
これこそが読書の楽しみです。
「源氏物語」。
一生に渡って楽しむことができます。
みなさんもいかがでしょうか。

※それにしても
 本のリサイクル意識の浸透と
 ネット情報の拡充によって、
 地方に住んでいても
 良い本を格安で手に入れることが
 できるようになったのは
 素晴らしいことだと思っています。
 本を購入し、大切に扱い、
 不要になったら適切に売却し、
 必要としている人の手に
 届くようにする。
 今や本は人類の共有財産と
 なりつつあります。

(2020.12.26)

Steve BuissinneによるPixabayからの画像

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